「Q&A」は、お問い合わせフォームに寄せられたご質問にお答えするコーナーです。
Q:「文明」と「文化」の違いは何ですか?
A:「文明」とは、都市や国家のような大きなスケールの現象であって、人類史的には農耕牧畜など大勢の人が動員されて組織的に労働した結果として生じました。その日暮らし以上の余剰生産物が発生し、それをめぐって所有、貧富の差、権力が生まれ、知識や技術の専門化によって可能になるものです。
「文明」は物質的な豊かさ、生活の実際的な便利さなどと結びついており、現代ではテクノロジーと不可分です。「文明」を可能にする大規模な組織化は、昔は宗教によって可能になっていました(が、今でも完全になくなったわけではありません)。要するに「文明」というのは大規模なものなのです。
それに対して「文化」は、「文明」よりは小規模で、より目に見えないもの、精神的なものに関わっています。文化の語源は「耕すこと(culture)」で、土地を耕して農業をするのは「文明」ですが、それに対して「文化」とは「心を耕すこと」だと言えます。こういう意味での「文化」という言葉は、古代ローマの文筆家キケロの書いたことから来ています。
19世紀まで「文化」は西洋中心の価値が支配的でしたが、現在では人間のどんな営みの中にも「文化」はあると考えるのが一般的となり、異なった文化間の「優劣」を言うのは良くない、という考え方が広がりました。
確かに文化間には「優劣」はありませんが「強弱」はあります。それを考えてゆくことは重要だと僕は思います。
※5/25に開催されたセミナー「第1回 瓜生談論:文明論の概略21」に寄せられた質問です。
※瓜生別館では、寄せられた質問やご意見にQ&Aコーナーで時々お答えしています。すぐには答えられないときもあるかもしれませんが、気長に待ってみてください。

