「デカルトとメンタルヘルス」第6回 土曜の放課後2

今週8月9日(土)14:00より文哲研の共催セミナー「土曜の放課後2」の第6回目が開催されます。「土曜の放課後2」は全12回の連続セミナーとなっており、過去の哲学者や思想家に現代的なトピックを掛け合わせた講演を行っております。よろしければお申し込みの上、ご参加くださいませ。

第6回「デカルトとメンタルヘルス」
デカルトの思想と言えば「心身二元論」だと言われます。心身はそれぞれ別々な「実体」だということです。しかし、心と身体とが無関係ではなく密接に結びついていることなんて、誰だって知っているでしょう。そこからデカルトを仮想敵にして「心身二元論の克服」みたいなことを言う人がいますが、これはまったくの勘違いです。むしろ心身の関係をいかに考えるか、ということこそ、デカルト哲学の核心なのです。

デカルトは1649年に『情念論』という本を書きました。この「情念」とは「パッション」という概念です。パッションは「情熱」と訳したりもしますが、また能動に対する「受動」という意味もあります。さらには、イエス・キリストの「受難」もパッションです。この概念が、心と身体との関係について考えるカギになります。
  一方現代の生活においては「精神の健康」を保つことが求められています。「メンタルが弱い」とか「メンタルをやられた」とか当たり前のように口にする私たちは、まるで(本当はデカルト哲学とは真逆のものである)「心身二元論」を前提に生きているかのようです。
  「メンタルヘルス」とは単に精神障害でないということではなく、自分の可能性を実現し、ストレスに対処でき、生産的に働き社会の役に立てるような状態のことである──この「ご立派」な定義は、WHO(世界保健機関)が私たちに押し付けて来るものです。今回の講座では、健康とか幸福(ウェルビーイング)」いった人生の「目標」なるものが実はまったくの「大きなお世話」にほかならないことを、デカルトを味方につけて暴き出したいと思います。(吉岡 洋)(吉岡 洋、哲学とアートのための12の対話 2025「土曜の放課後2」公式ページより引用)

哲学とアートのための12の対話 2025「土曜の放課後2」(公式ページ:https://yxy.kosugiando.art/

日程2025年8月9日(土)
時間14:00 〜 16:00(受付開始:13:30)
会場 FRAME in VOX 京都府京都市中京区大黒町44 河原町VOXビル 3F
※ MEDIA SHOP前(建物に向かって左側)の階段またはエレベーターにて、3Fまでお上がりください。
参加費通常1,000円/回
(京都市立芸術大学、京都芸術大学の学生は参加費が無料です)
 ※ 前日までに下記からお申し込みください。
 ※ 参加費は当日、会場受付にて頂戴します。
申し込みhttps://yxy.kosugiando.a/form/contact.php
 ※ 前日までにこちらのフォームからお申し込みください。
記録映像視聴https://yxy.kosugiando.art/form/contact_video.php
通常3,000円/10回
(京都市立芸術大学、京都芸術大学の学生は無料です)
 ※第2回から第11回までの記録映像をネット上で視聴いただけます。
 ※ ご希望の方はこちらからお願いします。視聴費は講座日でのお支払い、あるいは銀行振込となります。お支払い確認後に限定公開アドレスを連絡します。
主催土曜の放課後・実行委員会
(植田憲司、吉冨真知子、谷本研、二瓶晃、由良泰人、大西宏志、安藤泰彦、小杉美穂子)
共催京都芸術大学 文明哲学研究所、京都市立芸術大学 加須屋明子研究室
哲学とアートのための12の対話 2025「土曜の放課後2」

土曜の放課後。かつては会社も学校も土曜は午前だけ、午後はお休みでした。2002年に学校にも週休二日制が導入されたので、もはや「土曜の放課後」は存在しません。それでもこの言葉を聞くと私たちは、たんなるノスタルジーを越えた何かを感じるのではないでしょうか?

放課後とはいってみれば「ポカンと空いた時間」でした。何をするのでもない、何のためでもない時間。今の生徒たちは学校の後も部活や塾などで忙しいかもしれません。現代では誰もが、できるだけ無駄な時間を作らないように追い立てられています。休息や遊びですらそのための場所や時間が用意され、何のためでもない時間はなくなりました。

「哲学とアートのための12の対話」の出発点は、室井尚さんが強調した「考える=迷子になる」です。迷子になるには「何のためでもない時間」が必要であり、その点が、この催しが普通の教養講座とは違うところです。「考える」ためにあえて「ナビ」を捨て、土曜の放課後のような「ポカンと空いた時間」に赴くことが大切なのです。

2023年度は「現代を問う」というサブタイトルで、室井さんと共に計画していた12のトピックについてお話した後、参加者の間で対話しました。2024年度「土曜の放課後」では、全12回のうち5回、様々な分野で活躍されているゲストをお呼びし、彼らとの対話を織り交ぜながら進めました。2025年度「土曜の放課後2」においては、過去の哲学者や思想家に現代的なトピックをぶつけてみるという、時空を超えた「対話」を試みたいと思います。

吉岡洋 + 土曜の放課後・実行委員会