「カントと現代アート」第7回 土曜の放課後2

9月27日(土)13:30より文哲研の共催セミナー「土曜の放課後2」の第7回目が開催されます。「土曜の放課後2」は全12回の連続セミナーとなっており、過去の哲学者や思想家に現代的なトピックを掛け合わせた講演を行っております。よろしければお申し込みの上、ご参加くださいませ。

第7回「カントと現代アート」

現代アートとは何でしょう。興味がないという人でも、漠然としたイメージは持っていると思います。そうでないと「興味がない」という反応すら起こらないでしょう。ましてや現代アートが「好き」あるいは「嫌い」という人は、もっとハッキリしたイメージを持っているでしょう。しかしここでは、興味がある/ない、好き/嫌いということはとりあえずカッコに入れて、そもそもなぜ「現代アート」のようなものがあるのか?という問題を考えることから始めてみたいと思います。


 現代アートがなぜあるのか?という問いは、より正確に言い換えれば、それはなぜ文化として成立しているのか?という問いです。興味がない、嫌いだという人でも、現代アートが文化として価値を認められている(芸術大学ではそれが教えられ、作品は美術館で展示され、市場で売買される)という事実は否定できません。この事実を作り出したのは、およそ19世紀後半以降、過去約150年間の歴史です。その期間に芸術の世界に生じた、モダニズムと前衛運動という出来事が、現代アートを産み出す直接の歴史的条件となっています。


 カント(1724-1804)は18世紀後半に活動した哲学者ですから、もちろんモダニズムも前衛も知りません。では彼の時代の「現代アート」──この言葉はもともと英語の”contemporary art”(同時代芸術)の訳ですから──はどうでしょう? 18世紀後半のアートは、ロココの美術やモーツァルトの音楽など、今の私たちにとっても馴染みのあるものですが、カントはそれらについてもよく知っていたという形跡がありません。嫌いだったわけではなく、たぶんあまり興味がなかったのだと思います。


 にもかかわらず、カントが1790年に出版した『判断力批判』という本で展開した美的判断についての考え方は、19世紀以降の芸術の変容について考える上でも、決定的に重要と考えられてきました。「批判(クリティーク)」という概念は、日本語では「批評」「評論」とも訳されますが、カントの「批判」は個々の作品や作家が良いとか悪いとか論じるものではなくて、そもそもそれが「なぜあるのか」つまり「芸術として成立するのか?」という条件を問うものです。つまりアートの内容ではなく形式に注目し、アート作品に限らず自然物も含めて、私たちが美的経験をするとき心の中にはそもそも何が起こっているのか?ということを考えました。


 こうした「カント美学」の観点から、私たちの時代の現代アートはどのように見えるのか、ということを考えてみたいと思います。吉岡 洋)

※ 会場は、A会場(京都市立芸術大学 C棟3F 講義室7)です。

※ 今回は午後1時30分〜3時(受付開始:午後1時)の開催となります。お間違いのないようにお願いします。

(吉岡 洋、哲学とアートのための12の対話 2025「土曜の放課後2」公式ページより引用)

哲学とアートのための12の対話 2025「土曜の放課後2」(公式ページ:https://yxy.kosugiando.art/

日程2025年9月27日(土)
時間13:30 〜 15:00(受付開始が13:00といつもより30分早まります)
会場 京都市立芸術大学 C棟3階「講義室7」(C-316)
※ C棟西側入り口からエレベーターで3Fにお上がりください。
図書館脇の通路を通り、「関係者以外立ち入り禁止」の札を横目にそのまま通り抜けてください。
参加費通常1,000円/回
(京都市立芸術大学、京都芸術大学の学生は参加費が無料です)
 ※ 前日までに下記からお申し込みください。
 ※ 参加費は当日、会場受付にて頂戴します。
申し込みhttps://yxy.kosugiando.a/form/contact.php
 ※ 前日までにこちらのフォームからお申し込みください。
記録映像視聴https://yxy.kosugiando.art/form/contact_video.php
通常3,000円/10回
(京都市立芸術大学、京都芸術大学の学生は無料です)
 ※第2回から第11回までの記録映像をネット上で視聴いただけます。
 ※ ご希望の方はこちらからお願いします。視聴費は講座日でのお支払い、あるいは銀行振込となります。お支払い確認後に限定公開アドレスを連絡します。
主催土曜の放課後・実行委員会
(植田憲司、吉冨真知子、谷本研、二瓶晃、由良泰人、大西宏志、安藤泰彦、小杉美穂子)
共催京都芸術大学 文明哲学研究所、京都市立芸術大学 加須屋明子研究室
哲学とアートのための12の対話 2025「土曜の放課後2」

土曜の放課後。かつては会社も学校も土曜は午前だけ、午後はお休みでした。2002年に学校にも週休二日制が導入されたので、もはや「土曜の放課後」は存在しません。それでもこの言葉を聞くと私たちは、たんなるノスタルジーを越えた何かを感じるのではないでしょうか?

放課後とはいってみれば「ポカンと空いた時間」でした。何をするのでもない、何のためでもない時間。今の生徒たちは学校の後も部活や塾などで忙しいかもしれません。現代では誰もが、できるだけ無駄な時間を作らないように追い立てられています。休息や遊びですらそのための場所や時間が用意され、何のためでもない時間はなくなりました。

「哲学とアートのための12の対話」の出発点は、室井尚さんが強調した「考える=迷子になる」です。迷子になるには「何のためでもない時間」が必要であり、その点が、この催しが普通の教養講座とは違うところです。「考える」ためにあえて「ナビ」を捨て、土曜の放課後のような「ポカンと空いた時間」に赴くことが大切なのです。

2023年度は「現代を問う」というサブタイトルで、室井さんと共に計画していた12のトピックについてお話した後、参加者の間で対話しました。2024年度「土曜の放課後」では、全12回のうち5回、様々な分野で活躍されているゲストをお呼びし、彼らとの対話を織り交ぜながら進めました。2025年度「土曜の放課後2」においては、過去の哲学者や思想家に現代的なトピックをぶつけてみるという、時空を超えた「対話」を試みたいと思います。

吉岡洋 + 土曜の放課後・実行委員会